日常生活の注意点

リウマチの食事とお酒について

監修:森ノ宮医療大学大学院保健医療学 教授
大阪大学大学院医学系研究科 招聘教授
冨田 哲也 先生

食事は関節の負担を減らすための体重コントロールや感染症にかからない体力をつけるため、関節リウマチからくる炎症や薬物治療で不足しがちな栄養素を補い健康な身体を保つためにとても重要です。1)

関節リウマチと食事の注意点

体重は重すぎると関節に負担がかかります。逆に、やせすぎていると、体力が衰えて、感染症にかかりやすくなるなど別の心配がでてきます。関節リウマチ患者さんにとって体重コントロールは大切です。体重が重いからやせる、やせすぎているから太るといった単純なことではなく、食事によって十分な栄養をバランスよくとり、適切な体重を維持することを心がけましょう。

関節リウマチの食事療法

関節リウマチには特定の食事をしていたら治るといったものはありませんが、関節リウマチとともにすこやかに過ごすためには、バランスのとれた食事をとることが基本です。
炭水化物、タンパク質、脂質、ミネラル、食物繊維をバランスよく含んだ食事を1日3回規則正しくとることが大切です。糖尿病を合併している場合は栄養素のバランスやエネルギー摂取量、脂質異常症を合併している場合は脂質、高血圧症を合併している場合は塩分を控えるなど、ほかにも病気を治療されている方は、それぞれの合併症に適した食事をとるようにしましょう。

鉄分やカルシウム、良質のタンパク質を積極的に摂ろう

リウマチでは貧血や骨粗鬆症などを併発しやすいので、鉄分やカルシウム、良質のタンパク質を積極的にとるようにしましょう。「栄養指導」といって、栄養士が患者さんの病気や体調に応じた食事を提案してくれるサポートがある病院もあります。何をどのくらい食べたらよいか、食べ方のコツや調理の工夫について、ライフスタイルに合わせた具体的な料理や献立を教えてくれるので、医師や看護師、薬剤師にも「栄養指導」を受けたい旨や、食事に関する疑問を伝えてみましょう。

関節リウマチ患者さんの食事作り

健康のために、食事には気を使いたいところですが、調理には細かい作業が多く、関節に痛みや変形がある場合、困難と感じることがあります。痛みが強くて調理や食事がつらいときには、お惣菜やお弁当を購入したり、調理をご家族に助けてもらったりしてもよいと思います。
調理をしなければならないときには、缶や瓶を開けやすくする道具や、包丁を握らずに切ることができる道具などさまざまな「補助具」と呼ばれるアイデア道具があるので、活用してみてはいかがでしょうか。
また、関節への負担を減らすため、台所に椅子を置いて座りながら作業をする、片手なべではなく両手で持てるなべを使うなど、小さな工夫から始めていきましょう。

お酒との上手な付き合い方

関節リウマチとの長い付き合いの中で、お酒を一度も飲んでいけないというわけではありません。ただ、薬物治療をされている場合、アルコールが薬の効果に影響してしまうこともありますし、肝臓への負担が大きくなることもありますので、飲みすぎに注意し、休肝日をつくるなどして身体への負担を考えてあげましょう。アルコールを飲まれる方はかかりつけの医師に相談してみましょう。

関節リウマチと喫煙の関係

医師から禁煙を勧められたことはありませんか?関節リウマチのリスクファクターとして喫煙は知られています。喫煙は、身体にとってさまざまなリスクを増加させますが、肺への負担もその1つです。
現在は、禁煙のための薬を使いながらお医者さんと一緒に禁煙できる禁煙外来がある病院や、薬局などで購入できる禁煙補助薬など、禁煙のための選択肢が増えていますので、それらを活用してもよいでしょう。

サプリメントは飲んだほうがいい?

バランスのよい食事がとれていれば、サプリメントは基本的には必要ありません。
しかし、関節の痛みなどから調理が思うようにできず、栄養バランスの崩れを心配して、サプリメントを飲もうかと考えている方もいらっしゃるかもしれません。サプリメントの中には薬の作用に影響するものもありますので、すでに飲んでいる場合や、これから飲みたいと考えている場合には、医師や薬剤師に相談しましょう。

  • 1)宮崎 よりの ほか:”看護からみたプライマリケア” 納得!実践シリーズ リウマチ看護パーフェクトマニュアル 村澤 章ほか編 1 羊土社:171, 2013

2022年10月作成 ENB46M014A