治療をはじめる

関節リウマチの治療の流れ

監修:第二大阪警察病院 院長
社会医療法人 警和会 理事長
 越智 隆弘 先生

治療開始→ほぼ痛みも腫れもおさまる(寛解)→痛みも腫れもない状態が続く(寛解の維持)
  • ※ 検査は、1~6ヵ月ごと*に行います。
  • * 薬の種類や量を変えたときなど、もっと短い間隔になる場合もあります。
  • 1 治療の効果はどうか、合併症や薬の副作用はでていないかなどを調べます。
  • 2 症状はなくても関節破壊が進んでいないか、合併症や副作用が隠れていないかなどを調べます。

関節リウマチの治療の基本は、「病気の進行を抑える」「痛みをとる」「機能障害の回復」です。
炎症による痛み、関節破壊による痛みなど、痛みの種類に合わせて薬物療法・基礎療法・手術療法・リハビリテーション(リハビリ)を組み合わせた治療が行われます。

関節リウマチ治療の基本的アプローチ 病気の進行を抑える 痛みをとる 機能障害の回復

早期の治療開始が大事

関節リウマチは早期の治療開始が大変重要です。
関節リウマチと診断された後、できるだけ速やかに適切な治療を行うことで、関節破壊の進行を防ぎ、よい状態を保つことができると考えられています。
ほかの病気との区別が難しいことも多く、診察や検査などによる医師の総合的判断が必要なため、気になることや疑わしい症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。

医師の判断のもと定期検査が必要

  • ・血液検査
  • ・尿検査
  • ・画像検査*
  • * X線検査(レントゲン)、CT検査、MRI検査、関節超音波(エコー)検査など

関節リウマチかどうかの診断の際に行った検査は、治療の効果が出たかどうか、合併症や薬の副作用の有無などを確認するために定期的に行います。

  • ※ 医師が患者さん一人ひとりの状態に応じて必要な検査を選ぶため、違う検査や測定を行う場合もあります。
    疑問点があれば医師等に確認しましょう。
    ただし、検査結果も重要ですが、患者さん自身が「痛い・痛くない」「つらい・つらくない」と感じたことが大切なので、小さなことでも医師に話してなんでも相談できるようになっておくことが関節リウマチの治療には大変効果的です。

患者さん中心の医療
「インフォームドコンセント」について

1973年に米国病院協会が「患者の権利宣言」を発表したことをきっかけに、「患者さん自らの意思と選択により、最善の医療を受けることが大切である」との考え方が日本でも一般的になってきました。
かつては、医師が全てを決定し、患者さん側も「お医者さんにお任せ」という姿勢で医療が進められた時代もありましたが、医療の中心はあくまでも患者さんです。
与えられる医療ではなく、参加する医療へと変わりつつあります。
こうした中で、最近では「インフォームドコンセント」と呼ばれる一種の契約をもとに治療が進められるようになりました。
どんな治療をするのか、費用はどれくらいか、どんな効果が得られるのかなど、医師が治療に関する必要な情報を患者さんに十分説明し、患者さんの了解をとった上で治療を始めるということです。
つまり、患者さん自身が治療を行うかどうかの最終的な決定権を持つことになりますが、医療は患者さんと医師の信頼関係の上に成り立つものです。
近年、大きく進歩した関節リウマチ医療では治療の選択肢が広がっています。
一方で、副作用や注意事項など医師が患者さんに説明すべき情報が増えると同時に、患者さんからの情報も医師が正確に受けとる必要があります。
関節リウマチ医療においても、医師と患者さんの心が通うコミュニケーションがますます重要になってきたといえるでしょう。

2022年10月作成 ENB46M014A